良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方
この本の概要
「利用規約なんてどうせ読まれないし」
「まるごとパクればいいんじゃないの」
「免責しとけばなんとかなるよ」
と思ってませんか?
本書は,多くのベンチャー企業の支援を通じてウェブサービスに関するリーガルサポートを数多く手がけている弁護士と,スタートアップ企業から上場企業までさまざまな規模・業態の企業でウェブサービスの運営をサポートしてきた法務担当者2人が,その経験をもとに,「ウェブサービスを安全に・円滑に運営するために本当に気を配る必要のある事項」をわかりやすく解説。
ウェブサービスを守るために欠かせない「利用規約」にととまらず,関連する以下のトピックも取り上げています。
- サービスを通じてプライバシー情報を取り扱う際に重要となる「プ ライバシーポリシー」
- 有償でサービスを提供する際に表示すべき「特定商取引法に基づく 表示」
- ウェブサービスに関する法規制の必須知識
各種ドキュメントのひな形つきで,すぐに使えて応用できます。
さらに特別付録として,利用規約とプライバシーポリシーのひな形の英訳も収録。
ウェブサービスに携わるエンジニア,ディレクター,プロデューサー,経営者に欠かせない1冊!
こんな方におすすめ
- ウェブサービスに携わるエンジニア,ディレクター,プロデューサー,経営者の方
目次
はじめに
第1章 3大ドキュメント超入門
5つの疑問から読み解く「利用規約」ホントのところ
- 1 なぜユーザーに読まれないのか?
- 2 読まれないのに,なぜ必要なのか?
- 3 都合のいい内容にしてしまって大丈夫なのか?
- 4 適当に作っていいのか?
- 5 どのくらいのレベルで,同意をもらえればいいのか?
最低限おさえておくべき「プライバシーポリシー」のポイント
- プライバシーポリシーの2つの役割とは
- プライバシー=個人情報?
- 対象となるのはどんな情報?
- 利用目的は具体的に特定し,明示しなければならない
- 個人情報を第三者に提供するときはポリシーに明記し同意を取る
- 委託先への開示も明示しておく
- 個人情報を共同利用するときに配慮すべきこと
- 開示や訂正などの請求に関連する情報はどう扱えばいいか
- どこに設置すればいいか
有料サービスや商品販売に不可欠な「特定商取引法に基づく表示」とは
- 「広告を行う際に表示すべき項目」なのにウェブサービスで対応が求められる理由
- 表示が求められる11の事項
- じつは通信販売にはクーリングオフがない
- コラム 一定の条件を満たすとより厳しい規制の対象となることも
第2章 トラブル回避のための注意点と対応策
ある起業家から弁護士への相談
規制とうまくつきあうには
- ビジネスを潰さず,最小限のリソースで対応するための考え方
- ウェブサービスの7つの類型からわかる関連規制
- もしも規制に抵触するかもしれないことがわかったら
- 規制の適用を過度に恐れない
戦う土俵は「日本」とは限らない ~準拠法と裁判管轄の合意
- 世界を相手にできるウェブサービスならではの問題が
- トラブルを予防するためにおさえておくべき2つのポイント
- 「モノ」を売買するサービスで注意しなければならないこと
- コラム 日本以外の国ではサービスが違法になる可能性もある
そのサービス名,使って大丈夫ですか? ~商標権
- 人の商標権を侵害するとどうなるのか?
- 商標権を侵害しないサービス名をつけるには
- 後出しじゃんけんに負けることも
プラットフォームの利用・運営にまつわるリスクに対処する
- プラットフォームの規約の3つの特徴
- 企画するときは「独占禁止」に注意
- プラットフォーム規制の3つの事例
ユーザーがコンテンツをアップする場合の「権利処理」のポイント
- 「勝手に使うな,改変するな!」と言われないために
- コンテンツの権利関係5つのパターン
- コンテンツの権利を処理する3つのパターン
- コラム 譲渡のパターンで「著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます」を入れる理由
- どのパターンでも「著作者人格権」のケアが必要
「権利侵害コンテンツ」にはどう対応するか
- 「ユーザーが勝手にやったこと」ではすまされない
- 申告がまちがっていたときの対応も視野に入れておく
- もしも「発信者情報開示請求書」を受け取ったら
- コラム 発信者の情報をできるだけ開示しないほうがいい場合
- コラム 権利侵害と思われる投稿情報は柔軟に削除できるようにしておく
規約を成立させるための「同意」の取り方
- 同意を得ないと契約として成立しない
- クリックにできる限り「重み」を持たせる
- 「同意したくないユーザーに拒否権を与える」方法も
- 利用規約への同意取得5つのパターン
- 利用規約を変更したときの同意にも注意
- 過去のバージョンもすぐに確認できるようにしておく
- コラム 変更同意はライトな感覚で考えられている
最も登板機会の多い「エース」禁止事項とペナルティの考え方
- “ユーザー対応の工数を削減する”ためにも有用
- 「ちょうどいいペナルティ」は3段階で考える
- 「当社がNGと判断した場合」は入れておこう
- コラム 同業他社の禁止事項に学ぶ
課金サービスでは「契約関係」の整理・把握が不可欠
- だれに対して,どのようなウェブサービスを提供しなければならないのか
- だれからお金を支払ってもらうのか
- 契約関係を図に落としてみると
ウェブサービス事業者に有利すぎる条件は危ない ~免責と消費者保護
- 「一切責任は負いません」は無効になる可能性あり
- 消費者を保護する法律はたくさんある
- コラム クレーム対応と契約無効のあいだ
ポイント・仮想通貨を扱うならば「資金決済法」の理解が必須
- 資金決済法が適用される3つの要件
- 「有効期限を6ヶ月以内」と定めていることが多い理由
- 「自家型」と「第三者」に分けて規制が定められる
- 負わなければならない4つの義務
未成年者による利用と課金に対処するには
- 多額の請求が来てはじめて気づく親は少なくない
- 課金スタンスと年齢認証の方法を考える
- 未成年者取消に応じなくていい場合とは
- 返金にあたっては,慎重な確認プロセスを
ユーザーのサービス利用履歴は,どこまで利用していいか
- 個人情報を無断で利用してはいけないことはだれでも知っている……けれど
- 個人情報の範囲はあいまいで,しかも広く解釈される可能性が
- 個人情報に該当しない情報も自由に利用できるわけではない
- 結局,利用履歴を利用するにはどうすればいいの?
ウェブ上での広告・マーケティングに対する規制
- 媒体審査なしで世の中に広告を出せてしまう怖さ
- おさえておくべき9つの法規
広告メールを送付する際に注意すべきこと
- 広告メールの送付にまつわる2つの規制
- 「事前の同意」をどのように取得すればいいか
- 総務省と経済産業省のガイドラインもチェック
第3章 すぐに使える・応用できるひな形
利用規約のひな形
プライバシーポリシーのひな形
特定商取引法に基づく表示のひな形
第4章 ダメな利用規約を生み出す「3つの落とし穴」を回避する
- その1 実効性の落とし穴
- その2 違法性の落とし穴
- その3 同意取得の落とし穴
おわりに 心に残る不安を解消するには
- 一人で考えこむよりも,まわりを巻き込む
- 弁護士・法務担当者の3つのホンネ
- 利用規約の限界を乗り越えるための「Kiyaku by Design」