Mapion・日本一の地図システムの作り方

出版社:技術評論社
ISBN:978-4-7741-5325-4
本体価格:2,580円
発売日:2012年09月28日
著者:株式会社マピオン,山岸靖典,谷内栄樹,本城博昭,長谷川行雄,中村和也,松浦慎平,佐藤亜矢子 著

詳細は技術評論社サイトへ

この本の概要


 

日本オリジナルの地図サービスを開発し,月間6000万PV超える莫大なアクセスを捌くWebサービスを運営するマピオン。本書は同社の技術を余すことなく公開する。「大量アクセスを実現するWebシステムノウハウ」を軸にオープンソースの地図システム構築や,検索システムの構築などを紹介する。前人未踏のシステムゆえ,手探りで開発を進めざるを得ず,悪戦苦闘・試行錯誤するも,その記録もリアルに記述。これらは,システムが抱える問題に対してブレークスルーするためのヒントになるであろう。3.11の震災対応の地図サービス開発の裏話も公開!

 

こんな方におすすめ


 

著者の一言


 

本書の読み方

本書は,マピオンにおける地図システムの作り方を通し,Webサービスの開発や,障害発生時のトラブル解決,ユーザーへのサービス提供の実現方法,そしてシステムの運用管理まで,総合的に解説を行うものです。
インターネットを利用したWebサービスがたくさんありますが,マピオンの地図サービスの裏側を理解いただくことで知識・技術の交流が生まれればこれに越したことはありません。当たり前のように地図サービスは使われていますが,その舞台裏は試行錯誤の連続で,手探りで創り上げたノウハウの結晶なのです。
日本独自に成長してきた当社の地図システムをベースに新しいサービスが生まれ,ビジネスが展開していけば深甚です。

 

本書が対象としている読者

Webシステムを構成している技術は日々進化していますが,本書を読むにあたり,次の前提知識があるのが望ましいでしょう。ただし,すべてが必須というわけではないので気軽に読んでください。

各章の概要


 

第1章 地図システムが生むさまざまなチャンスとは何か(担当:谷内)

紙の地図から始まり電子化を経て,さらにはインターネットを介することで,生活インフラとして地図システムは利用されています。本章では,地図システム普及の歴史を振り返り,ビジネスにおける役割を解説します。古くは,カーナビの普及と浸透,そしてケータイ電話での地図利用の一般化,さらにWeb地図の高機能化,現在ではスマートフォンを利用した新しいサービスの展開など,将来どのような使われ方がされていくのか,マピオンの地図システムの見地から説明します。

 

第2章 地図検索システムの仕組み(担当:谷内,松浦)

マピオンの地図システムの仕組みを解説します。地図をどのように電子化するのか,そのノウハウを紹介します。地図の電子化には,見映えの良さの追求が根底にあります。それが地図システム開発者のこだわりです。見やすさを最優先に設計・デザインしたマピオンの地図は2009年にグッドデザイン賞を獲りました。FOSS4Gを通してさまざまなデータから地図画像生成を行う仕組みを理解できるようになります。

 

第3章 地図配信の仕組み(担当:本城)

マピオンの地図配信システム全体の解説を本章では行います。各種独自APIである,Map API,Tile APIの説明からフリースクロール地図の仕組みを紹介します。地図配信を高速に行う上での工夫を知ることができます。

 

第4章 超高速検索の仕組み(担当:山岸,中村)

Webシステムは,少しずつ進化を重ねて発展するものが少なくありません。マピオンの地図システムは,インターネットの普及期からどんどん機能が進化してきました。
マピオンが2009年に行ったリニューアルの最大の目的は,検索の高速化でした。本章ではそのリニューアルの舞台裏をソフトウェア開発の面から紹介します。また,新機能で加えられたオープンソース検索エンジンであるApache Solrの活用が1つの柱となっています。リニューアルオープンから運用を開始し,突き当たった最初の壁『月曜10時問題』の解決はマピオンの開発チームを大きく成長させました。Webサービス担当者はぜひ読んでください。

 

第5章 マピオンを支えるインフラ・ミドルウェア・運用(担当:長谷川)

Webシステムは絶えず進化することが求められます。それは地図システムでも例外ではありません。むしろ積極的にインフラやミドルウェアの改善に取り組み,運用においてもユーザーが安心して利用できるというミッションがあります。
本章では,システムの仮想化やクラウド化のためにシステムをどう進化させてきたのか公開します。顧客の期待に応えるサービス提供のため,運用におけるテストについても体験に裏付けされたノウハウがあります。システムの運用管理者の皆さんにお勧めのアイディアを詰め込みました。

 

第6章 スマートフォン用地図ライブラリの紹介(担当:本城)

スマートフォンは圧倒的な勢いでフィーチャーフォン市場を駆逐し,どんどん広がっています。マピオンとしてはこれまでの社内の資源を利用しつつAndroid型スマートフォン,iOS用iPhone用の地図ライブラリを提供しました。本章では,マピオンが提供する地図ライブラリの使い方をたくさんのサンプルをもとに平易に解説しました。

 

第7章 マピオンの震災対応(担当:谷内)

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は,日本国民に大きな不安とストレスを与えました。マピオンでは,震災関連の復興支援サービスを震災後すぐに開始しました。福島第一,第二原発からの避難範囲地図の提供や,東京電力の計画停電エリアマップ,被災地のトラック通行実績マップなど新しくシステムを構築し,情報提供を行いました。
2012年4月では,桜ラインプロジェクトを応援する地図を公開しました。これは津波到達点を示す桜の植樹場所を地図上にマッピングしたものです。これらのサービスは,マピオンの地図システムを応用することで迅速に展開できたものです。地図サービスによる社会貢献を実現できた,その舞台裏の仕組みを公開します。

 

各章コラム(担当:佐藤)

 

 


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